平成21年12月1日
公益社団法人日本栄養・食糧学会 会長
矢ヶ崎 一三

先週までに、内閣府行政刷新会議ワーキンググループによって「事業仕分け」が実施され、その結果、次世代スーパーコンピュータ、バイオリソース事業、科学研究費補助金などの科学技術関連予算の見直しにより、その予算の大幅な削減が実施されようとしている。これに対し、本学会は深い憂慮の念を表明するものである。

すでにノーベル賞およびフィールズ賞を授賞した日本の科学者らの声明にあるように、天然資源の少ない日本は、科学技術創造立国を目指さなければならない。これまでも十分であったとはいえない科学技術関連予算を削減することは、我が国における科学技術の進歩および科学者の育成を停滞させることは明らかであり、少なくともこの予算の現状維持、むしろその増額が必要と考えられる。

本学会は、栄養科学および食糧科学を通して人類の健康と福祉、および世界の食糧問題に対応する分野として発展しつつある。科学技術関連予算の削減は、本分野の科学の発展に大きなマイナス影響を及ぼすことは必至であり、特に、若手の研究者育成を阻む結果になることが予想される。よって、予算削減が現実のものになれば、それは将来へも禍根を残すことになるであろう。

今後、大学および研究機関の予算も含めた科学技術関連予算の編成において、今回の「事業仕分け」の結果が直接的に反映されることがないように、強く要望する次第である。

以上