新年にあたって(2014年1月)

公益社団法人 日本栄養・食糧学会 会長(平成24・25年度):宮澤陽夫

E-mail:miyazawa@m.tohoku.ac.jp
東北大学大学院農学研究科機能分子解析学分野
(〒981-8555 宮城県仙台市青葉区堤通雨宮町1-1)
Food and Biodynamic Chemistry Laboratory, Graduate School of Agricultural Science,
Tohoku University, Sendai 981-8555, Japan

日本栄養・食糧学会:宮澤陽夫

新年を迎えるにあたり、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。

日本栄養・食糧学会の平成24年度および25年度の会長職をあずかっております。本会は、今年で67年の歴史を刻むことになります。栄養学と食糧科学を連携させ、日本医学会の第14分科会として、基礎(栄養・食糧)と応用(医学)を融合させ新しい学問領域を開拓し発展させてきたことに、本会の設立当初から今日に至る大変多くの素晴らしい会員の皆様の先見性とご功績に、新年にあたり改めて心より敬意を表します。

今年の第68回日本栄養・食糧学会大会は、5月30日(金)から6月1日(日)にわたり北海道江別市の酪農学園大学で開催されます。会頭の原 博北大教授を先頭に、順調に準備が進められております。特別講演、シンポジウム、教育講演、スポンサードセミナー、市民公開講座など、充実した内容が企画されています。

国際シンポジウムには、国際栄養科学連合(IUNS)のAnna Lartey会長と、米国栄養学会(ASN)のGordon Jensen会長が参加される予定です。このシンポジウムでは、本会の国際貢献、国際連携そして本学会の価値をさらに高めるための将来の在り方などが討議されることでしょう。会員の皆様には是非ご参加いただき、講演発表と活発な討論を交わし、研究成果についておおいに盛り上がる素晴らしい大会にしていただきたくお願い申し上げます。我が国最大の食糧基地である新緑の北海道の大地を、大会参加とともに堪能しましょう。

国際交流の充実は、本会の学会としての価値を一層高める上で極めて大切です。とくに会員の皆様の研究活動のグローバルな展開、国際社会への貢献、そしてなにより若手会員の育成と活性化において重要と感じます。2015年5月には、パシフィコ横浜で第12回アジア栄養学会議(ACN2015)を、本会は主催します。アジア栄養学会連合(FANS)に加盟する18の各国代表が一堂に会する機会を、実現したいものです。目下、学会内に設置したACN2015組織委員会を中心に、具体的な行動を始めております。

同年の第69回国内大会は、このACN2015と合同開催になります。募金委員会の活動も本格化しましたが、これには関係企業様がこのACN2015をそれぞれに有効活用されて、是非ご協賛いただけますようお願い申し上げます。世界中から栄養と食糧に関する基礎と臨床の研究者が集い、アジア地域の栄養の諸課題の発掘と食品による克服について、議論し交流を深める絶好の機会ですので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。詳細はACN2015のホームページをご覧ください。

また、本年3月には、アジア地域の健康と栄養向上のために、若手研究者のリーダーシップ研修を通して人材育成とネットワークづくりを目的に、小規模ですが東京で「IUNS栄養学のリーダーシップ育成国際ワークショップ」を開催します。この集会は日本では2010年にはじめて開催され、今回は2回目となります。ぜひご参加ください。

本会は現在までに、台湾栄養学会(NST)、中国栄養学会(CNS)、韓国栄養学会(KNS)、韓国食品科学栄養学会(KFN)と交流協定を結びました。米国栄養学会(ASN)とのMOU(Memorandum of Understanding)を4月に米国において締結し、5月の北海道大会では記念の盾の交換式を行います。ACN2015開催では、日本学術会議のIUNS分科会や関連学協会、産業界との強い連携が必要です。昨年は、これをステップに、さらに本会の中堅・若手会員とともに、2021年国際栄養学会議(ICN2021)の我が国への誘致活動を短期間に精力的に展開しました。

結果として、昨年9月にスペインのグラナダで開催されたICN2013総会の投票では、北京、ダブリンとの熾烈な競争の末、開催地が東京に決定したことは皆様ご存知のとおりです。この勝利は、IUNS分科会と連携しつつ、本会の国際交流委員会、庶務理事・庶務幹事の先生方、東京観光財団、関係学会の先生方が懸命になっていただいたお蔭であり、本当に心からお礼申し上げます。「日本人の緻密さ、鷹揚さ、企画力、奥ゆかしさ、結束力、精神力、すべて最高でした」と、これは私の日本チームについての感想です。また、同時に国際栄養科学連合(IUNS)の理事に私自身が選出されてしまいましたが、アジアが抱える栄養学的課題の解決にIUNSの場を通して微力ですが貢献していきたいと思います。

学会強化では、とくに本会は、会員と産業界との産学連携研究が大変に活発です。この流れは今後さらに拡大していくと思われますし、学会強化の面からは非常に重要と感じています。会員による新しい技術開発を表彰する制度も必要かと思います。なお、本会に未加入で大会発表されている企業様にはぜひ賛助会員として本会に加入していただきたくお願い申し上げます。また、会員の構成比からすると、とくに医学系の会員増も必要かと思います。機関誌である日本栄養・食糧学会誌の充実、日本ビタミン学会と共同編集しているJournal of Nutritional Science and Vitaminology誌の一層の査読迅速化と国際化、会員の情報交換の場としての学会ホームページの充実、利益相反に関する対応検討なども進めます。

本会の活動について常日頃強くご支援をいただいている、とくに賛助会員の企業の皆様には心よりお礼を申し上げます。

会員の皆様と共に、我が国の栄養・食糧学を代表する学会として、魅力ある活動を今年も進めて参ります。ご支援とご協力を、よろしくお願い申し上げます。